今回は、海外で働く場合に職種別に必要な英語力に関して紹介していきます。もちろん英語力だけが就職に必要な要素ではないので、目安となる英語力以上でも仕事を得ることができない、逆に目安より低い英語力でも仕事を得ることができる場合もあります。あくまで目安として参考にしてみてください。今回はわかりやすいようにTOEICのスコアを基準に目安を記述しています。
まずは、専門職に関して説明していきたいと思います。
ワーキングホリデーで海外に行く場合には、おそらく飲食店を選択する人はかなり多いはずです。ですが、キッチンとサーバー(ウェイター)で求められる英語力がやや異なります。サーバーに関しては、経験の有無なども採用基準に入る可能性があるので、場合によっては英語力だけでは難しいケースもあるでしょう。
キッチンスタッフ目安: 中学レベル
キッチンスタッフの場合、最低限の英語力で仕事を得ることができます。極端な例ですが、中学英語も怪しいという場合でも仕事を得ることは可能です。日本食系のレストランであれば正直英語自体使う必要がない場合もあります。同僚との最低限の英語でのコミュニケーションが取れれば問題ないでしょう。
また、オーストラリアやカナダでキッチンスタッフとして永住権の申請をする場合にはIELTSで5.0~5.5程度のレベル(TOEIC600~700点程度)を要求されるケースが多いです。
サーバー目安: 日常英会話レベル
サーバーとして働く場合は、キッチンスタッフよりも高い英語力が必要となります。相手の注文を聞き取る能力、料理に関する質問に簡単に答える能力は最低限必要となります。日常会話ができるレベルであれば(TOEIC500~600)、問題なく仕事を得ることができるでしょう。ただし経験を問うケースも多く、経験が全くない場合はサーバーとして働くのが難しいレストランもあるでしょう。
目安:日常会話 TOEIC (400~500)
ナニーは日本でいう、ベビシッターのような仕事です。基本的には子供の世話をする仕事です。ベビーシッターとは違い、依頼主の家に住み込みで仕事をする場合もあります。ナニーは子供との仕事経験があるかを重視し、また、住み込みでの仕事の場合など人柄も非常に重視されます。求められる英語力はそこまで高くなく、日常会話ができれば問題ないでしょう。
目安:日常会話以上(TOEIC700~800)
アパレルショップの店員さんは、日常会話に加えて、顧客対応の必要性があるため、求められる英語力は高いです。日常会話は問題なくこなすことができ、ネイティブの話すスピードについていく英語力が必要です。
目安:日常会話以上(TOEIC700~800)
海外での美容師の求人は多く、日本で美容師の経験があれば職を得ることは難しくないでしょう。とはいえ、日常会話に加え、背術の説明、さらにお客様との会話と話す機会が非常に多いため、必要とされる英語力は高いでしょう。しかし、英語力よりも経験や技術が必要な職種のため、採用の段階ではそこまで高い英語力を要求されることはないでしょう。オーナーが日本人の場合もあるので、その場合は英語の要求レベルも落ちるでしょう。
また、美容師として、オーストラリア、カナダで永住権を取得する場合、IELTSで5.0~6.0程度のスコアが必要となるケースが多いです。仮に6.0以上が必要な場合ですが、この場合難易度はかなり高くなります。TOEICで換算すると800~900点レベルが必要です。はじめから永住を視野に入れているかたは参考にしてみてください。
目安: TOEIC 900以上(正式な場合)
海外での看護師としての就職は非常に人気で、オーストラリアやカナダで目指す人が多いようです。看護師として働く場合、形態によって要求される英語力は異なります。正式な看護師として働く場合には、オーストラリア、カナダではIELTSで7.0以上を要求されるようです。IELTSでのスコアはあまりピンとこないかもしれませんが、IELTSの7.0以上はTOEICで900点を取るよりもはるかに難しいです。したがって正式に看護師として働くためには、相当な英語力が必要です。しかし、国によっては正式な形式ではなくアシスタントとして働けるケースもあるようです。この場合は、エージェントからの紹介などを経て働くケースが一般的なようです。
目安: TOEIC 900以上
医師として海外で働く場合も、先ほどの看護師と同様で、IELTSで最低7.0以上の英語力が必要となるケースが多いようです。または、その国独自の試験を受けるという選択肢もあるようですが、どちらにせよ非常に難しいです。ただし、医師のかたがたは、すでにリーディングやリスニング力では、必要な水準を超えているケースが多く、やはりアウトプットである、スピーキングやライティングで苦労する人が多い印象です。
私はこの2つの職業を目指すかたのサポート(スコア取得)するケースが今までの何度かありましたが、達成されるかたの方がまれです。本気で、海外での看護師、医師としての就業を目指す場合には、長期的な対策が必要で、かつ根気も必要になりそうです。
目安: TOEIC 900以上
翻訳、通訳では高い英語力が要求されます。ベースとなる英語力はTOEICで900以上が必要になるでしょう。また、翻訳、通訳では専門性も非常に重視されて、例えば医療系で働いていたバックグラウンドなどがあれば、医療系の翻訳、通訳の仕事を得やすくなるでしょう。逆に経験や専門性が特にない場合は、どれだけ英語力が高くても海外で仕事を得ることは難しいでしょう。
目安: TOEIC 800以上
現地での日系企業で働く場合は、もちろん業種などにもよりますが、おおむねTOEIC800程度のレベルが最低限必要になるでしょう。基本的に社内でのやり取りは、日本語のため特に英語が必要ないというかたも多いでしょう。しかし働くかたの英語のレベルは非常に高い印象があります。現地の大学、高校を卒業して就職されるというかたもいるので、すでに高いレベルの英語を習得されているかたが多いです。そのため、あくまで最低レベルが、TOEIC800点レベルと考えておくといいでしょう。
目安: TOEIC 800以上
現地企業での、理系での就職の場合、必要とされる英語力は最低TOEIC800程度になるでしょう。しかし、特にプラグラマーなど高度の技術を要する職種の場合には、経験やスキルでカバーできるケースもあるでしょう。実際に私がカナダで働いていた時にも、現地企業で働くプログラマーのかたにお会いする機会がありましたが、英語力は人それぞれといった感じでした。先ほどの最低限の英語力以上のかたもいれば、おそらくそれに満たないかたもいるという印象でした。技術や経験に自身のあるかたは積極的にチェレンジすることができるのではないでしょうか。
目安: TOEIC 900以上, ビジネスレベルの英語
セールスやマーケティング、コンサルタントなどの技術職ではない職種の現地企業への就職で求められる英語力はビジネス会話レベルが必要になるでしょう。ビジネス会話ができる英語力とは最低でも、TOEICで900以上は必要になるのではないでしょうか。実際にはTOEICで900点以上あっても全くビジネスの英会話はできないという場合もあると思うのであくまで最低限の目安です。こちらもコネや経験、実績などがなければ、単に英語力だけで職を得るということは難しいでしょう。
海外で働く英語力は、その国や職種によって様々です。あくまで目安の英語力となってしまいますが、参考にしてみてください。また、英語力はあくまで条件のひとつです。海外就職を考えているかたは、英語以外の面でも要求されるものがあるはずなので気をつけてください。