英語講師である私は、かつて学習者だったとき、(もちろん現在も学びは続けていますが)、英語で日記を綴っていました。これが、現在の私の英語力の基礎になっています。
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それは、当時好きだったハリウッド俳優(トム クルーズ)に手紙を書きたかったからです。その時に通っていた英会話学校の先生の勧めもあって英語日記をスタートさせました。そんな軽い気持ちで始めた英語日記でしたがそれをきっかけに英語学習が楽しくなり、生活の大部分を占めるようになりました。それは、日を追うごとに自分の英語力がUPしていく感覚を感じることができたからです。やがてそれは、私に海外留学を決心させることになります。日本を飛び出せたのは英語日記で養われた英語の基礎があったからだと思います。私は、日記を続けたことで目的以上のものを手に入れることができたのです。
それでは、日記を書いたことによって私の英語力がどのように変化していったのかを具体的に、また効果的な日記の書き方も書いてみたいと思います。
私たちは、英語で何かを表現しようとする時まず頭の中で日本語を考えます。そして次に、その日本語を英語へと変換します。英語日記は、「英語を英語のまま理解する」いわゆる「英語脳」を作るための最適の教材になりました。
英語日記をスタートさせた当初は、英文を書くのにすごく時間がかかりました。全然英語が浮かんでこないのです。1文を書くのでさえ、頭の中で日本語が邪魔をしてなかなか進まない。そんな状態が1ヶ月くらい続きました。しかし、2ヶ月、3ヶ月と過ぎていくうちに英語のフレーズが頭に浮かんでくるようになりました。半年も過ぎると勝手に手が動き英語のフレーズがどんどん出てくるのです。あんなに苦痛だった日記がとても楽しくなっていきました。ここから私の生活が英語にどっぷりとはまっていくことになります。英語日記は私の人生を大きく変えてしまいました。
日記をスタートさせて半年後には、初めの目的はすでに達成していました。そして新たな目標が生まれてきたのです。それは、英語でコミュニケーションができるようになりたいという事でした。それを達成すべく、さらに日記を続けることになります。
日記を3ヶ月から半年間書き続けたことによって、ライティング、リーディング、リスニング、スピーキングの4技能がそれぞれどのように変化していったのか私の体験を通して具体的にお伝えしようと思います。
使える単語の数が格段に増えていきました。知っているだけで使えなかった単語が英文の中で使えるようになり細かなニュアンスの表現が少しずつできるようになっていきました。同時に、英語表現集や新聞、エッセイなどから気にいった文を覚え日記に応用していく事でより英語らしい表現ができるようにもなっていきました。日記を書く時間も短縮されたこともあり、ライティングが楽しくなりました。今でも、4技能の中でライティングが一番得意で好きです。
リーディングから、ライティングの力をつけることができました。まとまった英文を読むことで文法力、語彙力、表現力、内容構成の論理性を学びました。特に私は、コロケーションの知識をたくさん学びました。動詞と副詞や前置詞の組み合わせが新聞やエッセイの中で知ることができ、その中にある英語らしい自然な文章に触れることができました。より英語らしい文を使い日記を書くことに夢中になっていきました。今でも素敵な表現に出会うと真似をして使っています。
文章をたくさん書くことは聞く力も養います。自分で書いた日記を前から意味をとりながら声に出して読むことでリスニング処理能力がスピードアップしたように思います。
日記の表現は日常会話で使われることがよくあります。日記を音読することでスピーキングの力をつけることができました。毎日書いた日記を音読することで自然と口から英文が出てくるようになりました。今でも実際にネイティブとお話しするときは日記に書いていたような表現が中心となっています。
英語日記は私の英語の4つのスキルを総合的に底上げしてくれたようにおもいます。特に、ライティングとスピーキングは英語日記とそれを使った勉強が基本になっていると言えます。
はじめから難しいことを書こうとすると日記を続けることが嫌になる可能性があります。まずは、1行英語日記からはじめることをお勧めします。時間は10分以内で。実際に私も、最初から難しい表現をしようとして長時間机に向かい日記を書くことが苦痛になったことがありました。ある程度の余裕が出てくるまではハードルを上げないことが大切です。日付、天候、今日何をしたか?何を思ったか?などから気軽にはじめたことで長く日記を続けることができたのだと思います。無理のない量、自分で扱える単語、文法からゆっくりとはじめることが大切です。
しばらく1行日記を続けた結果、もっと上手な英語でさまざまな表現をしたくなってきました。NHKのラジオ講座、新聞や英語表現集などから気になった英文をノートに書き出し、そしてその表現を使って日記を書くということを繰り返していくと、英語日記を書くことが一層楽しくなってきました。自分で表現できる英語が増えてきたからです。気がつくと、勝手に手が動いてスラスラ日記を書いている自分に驚かされていました。そこまで到達するのに、ある程度時間がかかりましたが諦めないで書き続けることにチャレンジしてよかったと今では思っています。まさに、継続は力なりです。
余談ですが、意外と知らないことは多い日付と天気表現を書いておきます。
日付の表記
日、月、年
1st June 2024 ちなみにこれはイギリス式。
月、日、年
アメリカ式だと、June 1st, 2024となります。
天気表現
sunny, cloudy, rainy 以外にも bright, partly cloudy, foggy, windyなんて表現もあります。海外の天気予報のサイトなどをのぞいて天気の表現方法を増やしていくことも楽しかったです。余談ですが、私はのちにイギリスへ留学することになりその時感じたことですが、イギリスには、天気を表す表現がたくさんあります。一日のうちにコロコロと天気が変わるイギリス風土ならではなのでしょうか?また、英検のリスニングのテストに意外とよくでる天候の表現ですが簡単に聞き取れました。このような時が、日記書いていてよかったと思う一番の瞬間です。
私が日記の中で特に力を入れて取り組んだことは、自分の感情の移り変わりを文章にすることです。どう感じたのか? 楽しかったのか?嬉しかったのか?悲しかったのか?ある特定時の感情を表現してみることでワンランク上の日記に仕上がりました。微妙な感情の違いを英語で表現することができるようになりました。今でも、ネイティブと会話をするときに覚えた単語や表現がとても役に立っています。自分の感情を英語日記で表現してきた結果得たことです。
こんなふうに単語を書き出していました。参考にしてみてください。
例)
嬉しい気持ち・・・・happy, glad, pleased
悲しい気持ち・・・sad, unhappy, awful
驚きを表す気持ち・・・surprised, amazed, astonished,
これは、ほんの一例です。書き出すことで頭を整理していました。
同時に力を注いでいたことは、自分の日記を自分で添削することです。自分の書いた英文を自分で添削することで、よく間違うポイントを把握することができました。三人称による動詞の変化、適切な時制の理解、話法や仮定法などの基本的な知識は、日記を書くことで培われました。自身のウイークポイントが分かっているのでテストの見直しの時の時間短縮に繋がりました。それは、現在の仕事でとてもとても役立っています。生徒達が間違えやすいところや理解に苦しむポイントがわかり、適切にそこを気付かせてあげることができています。英語を指導する上での私の強みになっています。
最後になりますが、英語日記は、英語学習者にとっては、非常に効果のある勉強方法です。スタートする年齢はいつでも大丈夫だし、いつからでも効果は得られます。英語を書くことに抵抗がなくなり、日常会話で使われている英語表現が自然と身につきます。気がつくと、日本語を介することなく英語を英語のまま理解している自分と対面できます。結果、英文を書くときも、読むときも聞くときも、話すときも、日本語に頼らない英語らしい英語での表現を理解し、表現することができるようになってきます。それが一番感じられる時は英語新聞を読んでいる時です。気がつくと日本語に訳している感覚がありません。makeは、作るではなくmakeなのです。そんな感覚が大切なのだと思います。英語脳に近づいている証拠です。英語脳になれば、英文を速く読むことができ、聞こえてくる英語の処理能力の向上が期待できます。日本語を通さず英語のまま理解するので、入試や資格試験の時に時間短縮になり試験では有利な展開へと運びます。英語脳は利益にしかなりません。色々な場面で大活躍します。
ハリウッドスターに手紙を書くことを目的に英語日記をはじめてみた私ですが、実際には、それの何十倍もの恩恵を受けています。初めの目標は数ヶ月でクリアできました。そして、私の人生一番大きな出来事となった海外留学のきっかけを英語日記から得ることができました。英語学習が楽しすぎて本場で勉強をしてみたくなったのです。イギリス英語の発音に憧れてロンドンへ行ったのですが、英語日記で培った英語力のおかげで、さまざまな国籍の方々と無理なくコミュニケーションができたことは宝物のような経験になっています。
今、街にはたくさんの外国人の方が日本に観光にきています。オーバーツーリズムが社会問題になっていますが、彼らとお話してみたいと思いませんか?道を聞かれたらカッコ良く教えてあげたいですよね?英語ができると楽しいことがたくさんあります。
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